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第13回 「植物観察と植物画を描く」公開講座 [展覧会/講演会他]

8月24日。晴れ。

この日は、以前より申し込みをしていた「植物画講座」に行って参りました。普通の講座ですと何回も通わないとならないものが多い中、何と一回だけの珍しい講座でした。会場は、筑波実験植物園。植物画に関しましては、実は苦手という事もあってなかなか本腰を入れて描いた事がなく、でも、お友達で凄く上手な方の作品を拝見したり、好きな植物もあるので興味はあったのです。ただ、ハードルが高そうな事、アナログだと既に画材がないという事もあって、いつも指をくわえて心で泣きながら講座の案内などをネットで見ていた感じで。そんな時に見つけたのが今回参加させて頂いた講座でした。

まぁ一回だけの講座なので、初めて参加していきなり凄い絵が描けるようになるのかと問われれば、それは「NO」な訳ですが、参加されていた方の作品をこっそり(笑)拝見しながら、色のまぜ方、構図の取り方、鉛筆の線の描き方、あとはこんな道具が必要という事など、色々な事を先生に教えて頂いて分かりました。あと、絵を描く講座に入る前の植物に関する基礎知識や、実際に栽培をされている爽やか男性職員さんのお話はとても面白かったです。

植物のお話では、百合の花のお話がかなり衝撃でした。あの美しい大きな花びら、3枚は花びらなんだそうですが、もう3枚は同じ色と形をしたガクなのだそうです。あと、写真で初めてキャベツの花を拝見する事が出来ました。その映像を映しながら植物園の方がおっしゃっていました。

「野菜は食べ物ではあるのですが、植物です」と。

どうも…私もそうですが普通の人は野菜は食べ物という認識が強いようで。なので筑波実験植物園では「野菜は植物」という事を強調するべく、ゴーヤは種が取れるようになるまで、キャベツや大根は花が咲くまで見れるように展示されている様です。確かに私のキャベツのイメージはあの食べる時のまるくなった緑の葉っぱまで…。大根は以前お花を見た事があるのですが、今回植物園の方が見せて下さった物凄い勢いで盛大に咲いている姿は始めてみましたw や、凄い迫力でしたよ!また、ゴーヤも種が出来る頃には黄色くなるのを知りました。あと、タンポポの種と思っていたものが実は果実だったとか。この講座に行かなかったら知らなかった事が沢山で、貴重なお話に聞き入ってしまいました。参加して良かった!

というわけで一時間ほどで講座に関わっている皆さんのご紹介や、上記しましたような植物のお話が終了。ここから絵を描く講座にうつっていきます。まずは、モチーフになるお花の選択から。今回はラン科の貴重な植物がモチーフとして選べるようになっていました。さすが植物園、面白い花、滅多に見れない花(沢庵の匂いがする花とかw)、美しい花など盛りだくさん。ただし、絵を描く紙が白い事を考え、個人的に白い花は難しいと判断してモチーフから真っ先に除外。パッと見た時に美しいと思ったこの花をチョイス致しました。

花の名前は、ハベナリア・ロドケイラ。呪文のように呟く事2日くらいでようやく名前を覚えましたw
ハベナリア1.jpg

白い花をモチーフから外したまでは良かったのですが、つい綺麗な色にひかれて選んでしまった事を彩色段階で後悔する事になろうとは…この段階では思いもしなかったでしょう…。モチーフを選んだあとは先生が線を描く上での注意事項などを一通りお話しして下さり、その後すぐにスケッチにかかりました。とても久しぶりでしたよ…アナログで漫画でない絵を描くのは。しかし、やはりこの状態から苦手意識はついてまわりました。花の形がうまくとれない、一定の方向は描けても、他の方向からだと描きにくい、目で見ている通りにスケッチ出来ない(イラストレーターとして大問題)、花びらや葉っぱがよじれていると更にどう描いていいのか分からない、正面に向いている葉や花が難しい…。こうなった時に真っ先に後悔したことは「花の数が多い」という事でした。同じ花があっち向いたりこっち向いたりしているので描く時に大きさが変わるんですよね…。あと、お花を描いていくうちにサイズがドンドン大きくなっていく。だれか、この現象に名前を…。

そんな事をしているうちにアッという間に一時間…そして昼食。園内にはレストランがありませんので、あらかじめ買っておいたコンビニおにぎりをバクバク食べました。おにぎりは飲みものではありませんw 何かそれぐらいの勢いで食べてました。何故かというと、時間が惜しいからです。正直、11時から一時間昼食を挟んで15時半くらいまでしか作業時間がないのですよ。あと昼食後に今度は彩色の講義が入ります。マジで終わらないw まぁ、仕事ではないので途中でもいいという事でしたが、ある程度は完成させたいじゃないですか…本物が目の前にあるうちに。というわけで、ひたすらスケッチ。彩色の講義の段階ではまだスケッチが終わっていませんでしたが、それでも何とかその後、少し描いて彩色にうつれたのは良かったと思います。…正確性には欠けますが…。

ちなみに、私が彩色に使うために新しく購入した透明水彩はこれでした。

サクラクレパス 透明水彩12色 ラミネートチューブ入り(5ml)

サクラクレパス 透明水彩12色 ラミネートチューブ入り(5ml)

  • 出版社/メーカー: サクラクレパス
  • メディア: オフィス用品


この商品を購入した時は「画材が良くても腕がダメだとお金かけても勿体ないし…」という事で、お安いものをチョイスしました。あとは慣れていくうちに腕でカバー出来ればいいのかなと。でも、この考えが実際塗ってみるとそうもいかなそうな気配。まずどうしても色が足らない事に気づかされます。モチーフに選びました「ハベナリア」、上の画像ではとても綺麗なオレンジ色ですが、実際に見るとほんの少しピンク色が混ざっているような色でした。とりあえず、オレンジ色を作って、そのあと白と赤でピンク(ただし、白をまぜると不透明度が上がってしまう…)、あるいは赤を物凄く薄く水でといたピンクを先に作ったオレンジとまぜるという方法を考えました。しかし、まず、絵の具の赤とレモンイエローをまぜても綺麗なオレンジにならないのです。くすんだオレンジ色…。仕方がないのでなるべく薄く薄くなるように赤を水でといたりして透明感が出ないか試したのですが…なかなか思った色になってくれません。練習用に自分で所持していたBBケントを持参していたので(今回の講座で使用した紙と偶然一緒でした)、そこに色を作っては試しに紙の上に塗って色を見るという作業をしてみたものの…どうもうまくいかない。やっぱり初心者にはそれ相応のいい画材がないとダメなのかなぁ…最初から腕でカバーするのは無理でした>< 画材選びが甘かったですね…。ただ、腕が上がれば使う事も出来ると思いますので、今回購入した画材はきちんととっておこうと思います。画材のせいではなく自分の腕が未熟なせいですから、画材にケチつけるのはお門違い。

さて、色は結局自分の絵の具では作る事が出来ず、お隣の方から「オペラ」と「レモンイエロー」を、植物画家の先生から素敵な緑色を4種類ほどパレットに少し分けて頂いたりしました。また、その頂いた絵の具を元にオレンジ色は先生にある程度作って頂きました。その節は本当に有り難うございます!おかげさまで最初の色よりもだいぶ綺麗に塗れたのではないかと思います。ただ、沢山のお花を描いてしまったため時間配分がどうしても難しく、結局一通り色をおき終わった頃には講座の終了時間になっておりました。葉の色などは軽く色をつけるだけになってしまい似ても似つかない色のままになっておりますが、せっかく描きましたので…作品をここで公開しておこうと思います。
アナログ完成版.jpg

スキャンすると物凄くアラが見えるので、遠くからデジカメで撮影したものになります。スミマセン。スキャン画像をそのまま公開する事は私には出来ませんでした…。やー何かもう…イラストレーターの描く絵なのかという感じで…公開するまで非常に悩みました。完成出来なかった事もそうですが、何一つ満足に自分の力では描けなかった事に対する自責の念と言うか、何というか。正直もう少しマシに描けるだろうと思っていたので…あ”ーもう!!!!という感じです。講義の最後に一人一人の作品に先生方がコメントを下さるのですが、何かもうそれでさえも申し分けない感じで…心が折れてました…。苦手だったからしょうがないとか、そういうのが一番嫌いな言い訳なので…もっとうまくなりたいなと思いました。でも、植物画は本業ではないので、力を入れるべき事が他にもある事を考えると、なかなかかけられる時間は沢山はない…。しかし、そういう言い訳も逃げているようで嫌…。

色々な思いが交錯する中で、講義も終わり帰宅する準備をしていました。笑いながら話していても、心の中では複雑な気持ち。そんな時に、私の目の前のハベナリアの鉢が元あった所に戻されようとしていました。栽培していた男性職員さんが私が絵を描いていた机の所にやってきたのです。「可愛いお花だったなぁ。綺麗に描けなくて悔しい思いが一杯だけど、一日ありがとう」なんて心で思っていた所、その職員さんが何を思ったのかハベナリアの茎をポキッと折って差し出して下さいました。や、正直その方が茎を折った瞬間

「ぎゃーーーーーー!それ貴重な花じゃないんかーい!!!!」

と、心の中で絶叫したのですが…大丈夫だったんですかね…折って客にあげてしまって…。そんな心配をしつつも、しかし、それがなんだか凄く嬉しかったんですよね。帰ったあとに今回の作品を仕上げる気力がなかったので…でもきっと、上手く描けなくても一生懸命描いていた事がその職員さんには伝わったのかなぁ…なんて勝手な解釈を元に、この花を無事家に持ち帰る事が出来たなら(ちなみに茨城→埼玉…)、今度はこの頂いた花を描こうという気持ちになりました。お兄さん有り難う!というわけで、そこからどうやって持って帰るかという難題が私の前に立ちはだかりました。何せそんな準備も予想もしていませんでしたから。幸い、筆を洗う容器にしようとお豆腐の正方形のプラスチックケースを持っていっていました。それから、筆の水分を調整するのに手ぬぐいを使う事にしていたので、水を含んだものを持って帰ってこれるようにシール式の蓋つきのビニール袋を持ってきておりました。あとはティッシュに大量の水を含ませて茎の折り口に巻き付け、豆腐ケースにin!更にそれを蓋つきのビニールにinしてカルトンケースへ。途中GAZIOというカフェバーで夕飯を食べていこうと考えていたので、ティッシュに含ませるお水はこぼれない程度に多めに。

ゆっくり夕飯をと思ったのですが、何だかそのカフェバーではその日は大人数の予約が入っていたみたいで、余りの人数に急いでご飯を食べて出てきてしまいました…。だって人待ってたし…予約の人は全然出る気配なかったし…。でもきっとそれは、お花のためにも早く帰れという神様の思し召し…と思って、その後はどこにも寄らずに帰る事にしました。電車を降りる先々で化粧室に飛び込んだ以外はw 小さな切り花でしたので…どう扱っていいのか勝手が分からず。お水が漏れないように蓋をしていた関係で、酸素大丈夫かなーとか、お水ってどれくらいでなくなっちゃうんだろうとか心配で心配で。化粧室に駆け込んではビニール袋をあけたり、お水の確認をしたり。そのかいあって、お花が元気なまま家に持って帰ってくる事が出来ました!ヨカッター!!多分、男性職員さんが折って下さったのは、上の作品の左側の2輪の花がついている茎だったのではないでしょうか。豆腐のケースにちょこんと入っている姿を帰宅後に見てホッとしました。こんなにお花を持って帰ってくる事に一生懸命になったのは初めてです。

というわけで、さすがに帰ってきた日はクタクタでしたので、その日は早々に就寝。次の日から頂いた花をデジタルで描く事にしました。小さな花ですから多分そんなに長い時間もたないと思いましたので、色が豊富にあって、ある程度使い慣れているツールの方がいいだろうと判断したためです。…とはいえクリスタは購入してからそんなに時間が経っておりませんので余り使った事がないという状態で…しかし、使えるようにならないといけませんでしたのでこちらのツールの勉強も兼ねて頑張ってみました。時間が惜しいので早速描画開始!今回はとりあえず、何となくの構造が分かるように描ければいいかなという事で、実寸で描いておりません。あと花は一輪にしぼって描く事にしました。ザクザクと線画を描いてその上にだいたいの色をのせて、線画レイヤーを消して綺麗に輪郭などを整えながら彩色。そんな事をしている間にも、何だかお花の元気が少しづつなくなってきているのが分かりました。そのせいもあって若干見え方が変わってきたので全体的な形の修正をかけてみたのですが、頑張っても修正が間に合わない。見え方の変化はもうこの際諦めて、一番最初の見え方から若干修正をかけて色をのせていく事にしました。時間との戦い。下の画像は描画過程の一部をまとめたものです。
ハベナリア制作過程.jpg

何というか塗っているうちにドンドン色が濃くなっていくのが分かります>< これはどうしてかというと、恐らく陰影をつけないとどこがどうなっているのか分かりにくいという事で色をのせすぎた結果だと思います。色的には画像中央あたりの段階にピンクを少しのせた感じが良かったのかなぁと…今頃w このあと色々と加筆していったのですが、その間にもみるみるお花の元気がなくなっていきます。見た事もないお花でしたから、どう扱っていいのか分からなかったのも要因だと思います。湿気が多い方がいいのか、温度は高い方がいいのか、風通しがいい方がいいのか…本当はお花を長くもたせる事が出来る液体?みたいなのが家にあれば良かったのですが、それもない家なのでなす術もなく。少しお花がションボリしてきた段階でなんか可哀相になってしまって…モチーフという任をといた次第です。パソコンの近くとか、お花にはやっぱり辛かったんだろうか…。

その後はお花を別の部屋に移して様子を見ながら、絵を描きました。納得のいく完成…とまではいかなかったですが、でも頑張って描きました。
ハベナリア完成.jpg

右は主線なしの仕上がりバージョンで、左側は線をあとから付けたバージョンです(クリックで拡大)。何故あとから線を付けたかというと、右の作品を見て頂ければ分かると思いますがどこがどうなっているのか分かりにくかったためです。また、宮廷植物画家ルドゥーテの展覧会の図録のバラの絵をよくよく見ると(版画でなく原画の方)線画が残っているものもあったので、あった方がより絵に見えると思いましてつけたしました。本当は線ではなく色と影でメリハリを持たせるのがいいとは思うのですが、それが出来なかったので…。

もっとじっくり向き合ってみたかったですね。写真も撮ってあるのでそれを見て描くのもいいのでしょうが、今回はとにかくナマで見れるうちに、その時間内できちんと描いてあげたかったので若干急ぎ足になりました。でも、こんなに一つのお花に時間をかけて描いた事はなかったと思います。凄く細部まで見たのもきっと初めて。ハベナリアは私の一番最初の植物画のモチーフ。いつかもっと上手くなった時にもっと綺麗に描いてみたいなと思いました。そうなるには、まだまだ先は長そうですが><

描き始めて3日目の今日(27日)、2輪のうちの1輪がしおれてしまいました。こういう場合、しおれたものをずっとつけておくともう1輪もダメになるのが早いのかと思いまして、断腸の思いでしおれた1輪を折りました。もう1輪は少ししおれてきましたが、あした朝くらいまでは持つといいなと思います。ここまで描けたのもお花とお花を下さった男性職員さんと先生方、講座に携わられた職員の皆様のおかげです。有り難うございます。またいつか、時間とお金の両方の都合がついた時に講義の方に参加出来たらいいなと考えております。公開講座は年に一度やっている様ですので…!私の場合、大概「お金があっても時間がない」か「時間があってもお金がない」と両極端なので、今回のように参加出来るケースは稀だったりします。でも、時間もお金も頑張れば作れるものなので、あとは体力を何とかしてまた参加出来たらと思いました。最初の作品が出来た時は正直心が折れましたが、小さな花を頂いて、それを家に持ち帰って…まだまだ精進しなくてはいけませんが、それでもそのお花を一生懸命見て描いた事で今は少し折れた心も自己修復出来た感じです。明日から仕事を再開するのでちょっと植物画からは離れてしまいますが、素敵な思い出ができた事でまた頑張れそうです。

ここ数日、予定外の所で頑張ってしまいましたので、他の趣味の方がおろそかになってしまいましたが、そちらも少しづつ頑張っていこうと思っています。豆本の方も、もう少ししたら進捗がお伝え出来るかなと思います。サイトの更新はしばらくお待ち下さい。拍手も本当に有り難うございます!これからも頑張りますよ!!!というわけで、今回はこの辺で。
タグ:植物画
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